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スピンコーターはレジストと呼ばれる感光性樹脂材料を基板(例えばシリコンウェーハ)に均一に塗布するための装置です。ここでは均一に塗布するための要素を、例を交えながら説明いたします。
均一にレジストを塗布するために代表的なものとして、塗布環境のコントロールが挙げられます。具体的には、レジストを塗布する環境の温度、および湿度を一定に保つ、ということです。基本的にスピンコーターは、クリーンルームと呼ばれる清浄且つ温度と湿度が一定に保たれた空間に設置されておりますので、この問題はクリアされているところがほとんどかと思います。しかし、温度や湿度が変動する環境に設置されていると、均一性および膜厚の再現性を損なってしまいます。こういった事態を避けるべく、場合によっては塗布環境のみを局所的にコントロールする機構を備える場合もあります。 その他に留意すべき事項として、レジストを塗布する際のウェーハの温度、薬液の温度、排気流量が挙げられます。塗布する際に基板温度が高くなると、滴下したレジストの乾燥が促進され、膜厚が厚い方向にシフトします。また、排気流量が多すぎてもウェーハ外周部のレジストの乾燥が促進され、塗布膜の仕上がりは下に凸の(ウェーハ中央が薄い)形を取りやすくなります。反対に排気能力が低い場合、スピンによってウェーハから吹き飛ばされてミスト化したレジストが、コーターカップ内で舞い上がり、そのまま塗布面へ返ってきてしまう(欠陥となる)可能性があり、また、臭気が外部に漏れてしまい、周辺の環境に影響を与えてしまうことが懸念されます。 レジストを滴下する方法によっても均一性は変わります。例えば、違う人がレジストを塗布した場合、結果は必ずしも同じにはなりません。少なからずそこには個人差が生まれてしまいます。また、同じ人が塗布しても一回一回の塗布が同じ条件(レジストの滴下位置、レジストの滴下量など)になることは大変難しいです。このような個人差、または個体差を軽減するためには、自動でレジストを滴下するディスペンサを採用することが挙げられます。自動ディスペンサはプログラム通りの動きのみしか行いませんので、レジストを滴下するタイミングや位置、および滴下量の再現性は人が行うことに比べ、大幅に優れています。研究・開発の運用であれば、レジストはオペレーターが滴下するマニュアルコーターで十分かもしれませんが、生産では自動ディスペンス機能が備わっているセミオートコーターまたはオートコーターを推奨します。 スピンコーターを使用してレジストを塗布しますと、ウェーハの外周部にレジストの盛り上がりが発生し、ウェーハ裏面にまでレジストが回り込んだりします。この盛り上がりと回り込みは除去しておかないと、後の工程に多大な影響を及ぼします。その一例として、露光機のステージを汚してしまうことが挙げられます。ステージを汚すだけでなく、露光のフォーカスが合わなくなり、不良の原因に直結することもあります。このような事態を避けるため、外周部のレジスト除去(エッジリンス)および裏面のレジスト除去(バックリンス)が重要となるのです。 |